image of DB | tkomtkomtkom@OCU

発生現象のイメージ

発生というと高校の教科書ではこんなふうにイメージしていると思われます。一般的には卵から形態形成の時期までというイメージではないでしょうか?

私は発生という現象のイメージをどのようにとらえているか? 以下のようにライフサイクルそのものを発生ととらえています。すなわち器官形成までだけでなく、その後、生殖細胞の形成や老化などの現象でさえも発生現象の一つと考えて良いのだと思います。

どこから始めるかは別にしてまず受精からはじまるとして、その後の発生の進行は将棋倒しのようにとらえています。ただしらせん階段をぐるぐると回りながら将棋倒しが進んでいくという感じかな。日本の癌研究の中心である築地の癌センターの所長で,癌学会の理事である広橋先生は以前私の親分であったのですが,すべての道は癌に通じると言っていましたが,どうようにすべての道は発生に通じると思っています.細胞の癌化や癌の転移などの現象には発生と同じメカニズムが用いられていると思います.

また別の見方を紹介しましょう。

一度分流した流れは元に戻れない。同様に「基本的には」一度分化した細胞は別の細胞に分化する事はないという現象の説明です。ただし私はカヌーを楽しむのでよく知っていますが、川の流れは本流から分流が生じる事はほとんどありません。支流が集まって本流になります。ワディングトン生物の事はよく知っていたようですが川については全くの素人だったと思われます。ではなぜそのようなドミノ倒しが進行するのかというとそれは遺伝子の働きであると簡単に言ってしまいましょう。遺伝子の発現の組み合わせで細胞の性質がきまると簡単に考えておきましょう。

遺伝子の数は人やマウスは2万数千個あるということです。

遺伝子が突然変異で壊れてしまうとどのようなことがおこるのでしょうか?3枚の写真をみてください。

マイオスタチンという遺伝子が壊れている牛。マイオスタチンは筋肉の大きさを測る遺伝子でその遺伝子が壊れると筋肉が肥大する。

Ref. Developmental biology Scott F. Gilbert 8th edition

Ref. Developmental biology Scott F. Gilbert 8th edition

遺伝子の働きがいかに重要であるかがわかりますね。Pax6はショウジョウバエにも人にもマウスにも存在している遺伝子でどれも目をつくる働きに関与しています。目と言う器官がいかに重要で保存的であるかがわかりますね。物を見て運動して食料を確保する。動物が生きるための基本だからです。

no iframe

© 小宮 透 2019