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アクチン

筋肉のアクチンフィラメントの長さはそろっている。何故なのか?

分子量4万 人マウスでは骨格筋型、非筋肉型の遺伝子が6種類存在。非常に保存性が高い。人と酵母で比較しても80%の相同性。

アクチン分子をG-actin (globular actin)。塩濃度を上げると重合してフィラメントアクチンを形成する(F-actin)。F-actinの長さは不定で化学重合反応同様である。この実験は丸山工作と当時大学院生の川村越(産業医大名誉教授)によって行われた。アクチンを重合させ,電子顕微鏡で見て,とった写真を引き伸ばし,1本1本のフィラメントの長さを,ローラーのついた長さを測る機械(キルビメーター)で測定し統計処理を行なったのです。これは大変な仕事であった,そしていささかガックリしたと丸山先生は岩波新書の「筋肉のなぞ」という本に書かれている(もう絶版になっていると思うけれど,読みたければ貸してあげます,あるいは学情にあるかもしれない)。そこでアクチンに結合する蛋白質があるのではないかと言う仮説のもとにactininが見いだされた。アルファ-actinin(江橋)およびベータ-actinin(cap-z,丸山)の発見は他のactin結合蛋白質の発見に10年間先んじていた。

 

G-actinとF-actinは平衡反応である。生理的塩濃度の場合actin濃度が0.03mg/mlを越えると越えた分はF-actinに変換される。この濃度を臨界濃度という。

このことは細胞内のactinはほとんどF-actinにならなければならない。筋肉ではまさにそのとおりにアクチンはアクチンフィラメントになっている(98%以上)。

しかし、できかけの筋肉ではアクチン濃度は高いにも関わらず40%のアクチンはF-actinとしては存在していない。それはなぜか?

G-actinに結合するactin結合蛋白質があるから(プロフィリン)。さまざまなアクチン結合蛋白質の存在が知られている。

ではActin binding proteinの存在でアクチンフィラメントの長さが決まっているのか?

「答え」そうではない。アクチン結合蛋白質とアクチンを混ぜてもアクチンの長さはそろわない。


© 小宮 透 2019